
僕は君を連れてゆく
第15章 会いたい
唇を離したら、先生はさっきよりもさらに目を丸くした。
「分かったら…せんせいがしてくれる?」
先生は困ったように眉を下げた。
「ワザとか?」
「え?」
「拷問だぞ…」
「なに?ごんぞうって?」
「ごんぞうじゃないよ!」
先生は声をあげて笑った。
電話が鳴った。
先生が体を離そうとしてきたから、それがいやで
抱きついた。
頭をポンポンとして体を離した先生。
仕方ないから電話に出た。
「…うん。行くよ。うん。遅れないって…うん。大野さん?行くってよ。じゃぁね。あとでね。」
電話はまさきだった。
「行かなくちゃ…。」
「盛大に祝ってやれ!」
「…」
「そんな顔するなよ…」
「どんな顔?」
「…してやる。分かったらキスしてやる。」
「うん!絶対だよ?」
「あぁ…」
「じゃぁ、また月曜日ね!」
早く、まさきの家に行かなくちゃ。
まさきが待ってる。
まさきへのプレゼントはタオルにした。
大学でもバスケがしたいって前に言ってたから。
「せんせい…」
今、別れたばかりなのに。
先生に会いたい。
先生の顔が見たい。
先生。
会いたいよ。
