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僕は君を連れてゆく

第2章 クレーム対応術


「………」

これは本当に部長の家なのか?

俺の知ってる部長の家は億ションみたいで、つまりモデルルームみたいなおしゃれな部屋を想像してたんだ…

「入れよ?」

ジャケットを脱いでシャツの袖を捲りながら言う部長。

入れって…どうやって、この中を…

足の踏み場がない。

部長は足元にあるゴミ、いやいや、荷物か?を蹴飛ばしながらキッチンへ入っていった。

悪いな~汚くて…なんて言ってるけど…
絶対にそんなこと思ってない。

「飲むだろ?」

酔いが完全に覚めた。

このまま、こんなところで飲むなんて‼

絶対にイヤだ‼‼‼

「ちょっと、待ってください。こんなところで飲めませんよ!」

「へ?」

「だから、こんなところじゃ飲めないって言ってるんです!」

「コンナトコロって…」

床に積み上げられていただろう新聞紙をかき集めながら部屋全体を見回した。

「1時間…」

「へ?」

「1時間もらえます?」




「翔さん、これは?」

「っと…それは…あっ!あれだ!俺が初めて営業回って契約取れたときに入った蕎麦屋の…」

この人は、俺の上司だよな?

とにかく、物が多い。

俺にはゴミに見えるけど翔さんのなかでは思い出が詰まっている物であるらしく、ほとんどの物を取っておこうとする。

「もうよくね?だいぶ片付いたじゃん!」

なんか、すげぇ嬉しそうにしてるけど…

「これは、片付けたとは言いません!部屋から部屋へ移動させただけです!」

この人、ダメだな…

「もういいじゃん!家主がいいって言ってるんだからさぁ~」

駄々こねだした!

「飲もうぜ?な?潤?」

「なぁ…もう、いいだろ?」
肩を落とししょげてる。


「可愛い…」

「へ?」

「へ?」

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

俺、今、何を言った?

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