
僕は君を連れてゆく
第15章 会いたい
「よく、言ってたよ。俺から好きになったから仕方ないって。いつか、先生のこと忘れる日がくるって。それまで、俺に100パーセント気持ちが向くまで俺はにのを120パーセント愛していくんだって。」
忘れるなんて…
そんなこと…
忘れなきゃと思っていた。
思い出さないように。
先生への気持ちが褪せていくまで。
だけど、人間は不思議な生き物でそう思えば、
そう思うほど心にその存在を感じるように出来ている。
ふとしたときに、先生を感じるんだ。
それは、まさきといるときだけじゃない。
一人で会社のデスクでパソコンに向かっているとき。
電車に揺られ、眠りに落ちそうなとき。
バラエティ番組見ながら、大笑いしているとき。
なんてことないときに感じるんだ。
だけど、それはいつか、いつか、会えるのかな、って思ってたから。
道のどこかで、バッタリ…
「あれ?潤せんせい?」なんて…
元気だった?変わらないな…
そうやって、どこかで、バッタリ会えるかもしれないって思っていたから…
「もう、二度と、会えないんだよな。松本先生に。」
大野さんはすごく、悔しそうに言った。
「二度と…」
二度と、先生に会えない。
