
僕は君を連れてゆく
第15章 会いたい
「変わった?」
「うん。感情をすごく押し込めるようになった。昔から何を考えてるかわかんない奴だったけど…今は二宮和也を演じてる。それが、まさきの好きなにのなのか、先生のためなのかわかんないけど…」
大野さんは、俺も何考えてるかわかんないってよく言われるけどねって笑った。
「まさきが言ってた。遠くを見てるって。心がここにないときがあるって…」
「よく見てるな。相葉ちゃんはにのこと。」
大野さんの話によると、先生が俺たちの高校に赴任するときはすでにゆうこさんと結婚していたそうだ。
でも、ゆうこさんは海外で仕事をしたかったみたいで、うちの高校で働きたいと言った先生とは生活スタイルのズレが生じていた。
そこから、考え方のズレも生まれ、先生の気持ちはゆうこさんから離れていって…
先生は離婚したいと申し出たが、いずれは日本に戻ってくるつもりでいたから籍は入れておいたままにしたいというゆうこさんとで揉めていたらしい。
「直接、先生からきいたわけじゃないけどね。」
色んな人から聞いた話を総合するとこんな感じだって大野さんは話してくれた。
「先生の病気のことも知らなかったんだって。っていうか、松本先生は誰にも言ってなかったみたいだけど…」
入院するときに連絡先が必要になって病院にゆうこさんの連絡先を教えたそうだ。
