僕は君を連れてゆく
第15章 会いたい
10分程走って小さなカフェについた。
俺はカフェオレを、ゆうこさんはブラックのコーヒーを注文した。
「何から話せばいいのか…」
眉毛を下げて俺を見た。
「彼はずっと一人でガンと闘っていたみたい。誰にも知らせずに。余命宣告をされてから同僚に話したんですって。遅いわよね…」
一口、コーヒーを啜った。
「私がなんであなたのことを知っているのか気になるでしょ?」
俺は頷いた。
すると、ゆうこさんは鞄から分厚い手帳を取り出して開いた。その手帳のポケットから二つ折りの封筒を取り出した。
「彼が入院してから彼の部屋を片付けていたの。そうしたら、卒業アルバムに挟んであったの。あなたに宛てたものよ。」
宛名がなかったから中身をみちゃったの、ごめんなさいね、と言った。
「いつ書いたのか、出そうとしてたのか、そこはわからないんだけど…。彼ってあまり、感情を表す人ではなかったの。そこが心地いいんだけど…でもね、この手紙にはあなたへの想いが詰まっているわ。」
すぐに渡さなくてごめんなさいね、とまた、謝られた。
俺は目の前の封筒を見つめた。
白い封筒。
宛名はなかった。
「読んでいいですか?」
ゆうこさんは頷いた。