僕は君を連れてゆく
第15章 会いたい
「手紙の中で途中で俺になってるでしょ?きちっと最後まで教師としてあなたと接することが出来なかったのね…」
ゆうこさんは泣く俺に言葉をかけてくる。
「私は彼を愛していたし、彼もきちんと愛してくれていたと思うの。でも、あなたへのこの気持ちも愛よね。」
俺はゆうこさんからさっき貸してもらった白いハンカチで涙を拭いた。
「二宮さん、恋人は?」
「います。」
「大切にされてるのね。」
「え?」
「滲み出てるわ。」
「私が言うことではないと思うけど…彼を愛してくれてありがとう。私はね彼を愛してるんだけど…でも…なんか…違ったのかな…お互いにね、向き合ってなかったのね。穏やかでいられるんだけど、それだけじゃ物足りなくなるのよ。女って。ワガママでしょ。遊びすぎる男は嫌なくせに、真面目すぎる男だとね…」
「………」
「手紙受け取ってくれる?」
「はい。」
ゆうこさんに駅まで送ってもらってゆうこさんと別れた。
ゆうこさんは丁寧にお礼と謝罪を俺がやめてくれてお願いするまで繰り返した。
なんで、あそこまでゆうこさんがお礼を言うのがわからなかった。
俺だったら…
あーやって、笑いかけることなんて出来ない…
スマホが鳴った。
確認したら大野さんだった。