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僕は君を連れてゆく

第17章 共有


あの、笑った顔。
怪しい笑顔だった。

大野先輩。
やたらと目を引く金に近い髪色。
浅黒い肌の色。

「お前、なんかしたの?」
同じクラスの二宮が聞いてきた。

「いや…」

「あの人さ…すげぇ、モテるんだって。男にも女にも。」

男にも?

「部活の先輩が言ってたよ。バイなんだって。公言してるらしくてさ。」

バイ?
バイ?

「あの人、綺麗な顔してるもんな…」

「まさか、お前?!」

「ウフフ。だから、お前、気を付けろよ?食われるぞ?」


食われるぞ?って…
俺より小さいあいつに?
俺が?

「いや、いや…なんでって、いねぇよ!」

二宮は俺の話を聞かずに教室から出ていった。

「んだよ…」

俺は大野智の顔を思い出していた。


笑うと八重歯が見える。
誰かに話しかけるときはチビだからか、肩に手をおいて耳元でしゃべってる。
いつも、Yシャツのボタンは二つ開いていて、身だしなみチェックのときでも開けたまま。

変な奴だよな…

なんで、こんなに見てるんだ…俺は…

=綺麗な顔=

そうなんだ。
金に近い髪の色って言ったけど…

そうなんだ。
その髪の色もそうだけど、あの人の纏う雰囲気?
オーラ?があって…

どうしても、目があの人を追うんだ。



俺は先輩と二人きりで話したらどうなるんだろう。

でも、その答えはもう、分かってるような気がする。
分かりたくないけど…


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