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僕は君を連れてゆく

第18章 涙雨

ー1ヶ月後ー

「いらっしゃーい!!!」

「連れてきたよ…もう、俺、疲れた…」

かずがお店に上司と同期のカップルを連れてきた。

「櫻井です。今日はどうもありがとうございます。二宮が最近、どうも丸くなったんで気になっていたんですけど、こんな素敵な恋人が出来たからなんですね。」

「松本です。いつも、お世話になってます。」

俺は順番に二人と握手をした。
かずの言う通り、イケメンな二人。
この二人が仕事でペアで回ってるって…すごいな。

二人の顔面偏差値の高さについ、惚れ惚れしてしまう。

俺はつまみになりそうな唐揚げやチャーシューをだして四人でテーブルを囲んだ。

お店の定休日の今日、気兼ねなく飲み食いできるところを探していて、思い付いたのがここだった。

親父さんたちは快く、承諾してくれた。

「「「「かんぱーい!!!!!」」」」

言葉にしないけど、かずが今日を楽しみにしていたのは俺を知っている。
カレンダーを見ては緩む頬を見て、俺は嬉しかったから。

「かずね、あなたたちのこと、凄く好きみたいなんです。」

「ちょ!ちょっと、何言うのさっ!やめてよ!」

耳まで真っ赤にしている。

「そこは、詳しく、聞きたいな!な?」

「いつもね?バカにされてるもんね?」

「ちょっと!本当に!なんでそんなこと言うの?」

あまり二人で外に出たがらないかず。
俺の家に私物を置くのを躊躇うかず。

それも含めて、かずなんだけど。

会社のかずを、俺は見ることが出来ないから彼等から会社でのかずを教えてほしい。

俺はかずが思ってるより、ずっと、かずが好きなんだ。

言葉にするのは簡単でいくらでも、言える。

そう、愛が無くたって。

愛している。
俺は、かずに伝えたい。




「じゃぁ、またぁ~!!!」

23時過ぎ、ほろ酔いの二人は俺たちの前でイチャイチャし始めて、そろそろ、見てるのもしんどくなってきたところで、かずが二人の頭をはたいた。

そして、お開きになった。


「もう!あの二人!見てらんない!」

プリプリと怒るかず。
テーブルに広がったお皿やグラスをまとめながら文句をこぼす。

「でも、楽しかったね?」

「そう?でも、疲れたよ…」

店のホールでも働けるんじゃないかというくらいテキパキと食器洗いを始めてくれて。

なんなら、鼻唄まで聞こえる。

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