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僕は君を連れてゆく

第3章 はじめて


部屋に入って御飯を炊いて、味噌汁を作る。

寒いから豚汁にしよう。

メインディッシュは母ちゃんが作り置きして冷凍しておいた餃子なんだ。

味噌を溶いて、だしを入れて完成。

まだかな?

お茶碗とお椀を二つずつだして並べた。

今はなかなか、使うことはないけどいつか、毎日、これを棚から出す日がくるといいな。

「お邪魔しまーす!」

「どうぞ!ケーキ?」

「とりあえず、入っていい?」

「いいけど…」

ケーキの箱を持って俺の家へやって来た。

テーブルにそれを置いて俺に背を向けて上着を脱いでる。
「今日さ、なんの日か分かってる?」

「あ、えー、なんだっけ?」

こちらを振り返り
「バレンタインデーだよ。開けてみてよ。」

そっと開けたらチョコレートケーキだった。

「すごっ…」

「俺はスイーツ部に入れてもらえないみたいだから…」

御飯食べたら、食べよう?って。

「でも…てか、買ってきたの?」

「え?うん。まぁ、あれよ。俺をってこと。気持ちよ!」

「先にこれ食べよ?」

「え?だってご飯…」

「これがニノの気持ちなんでしょ?早く食べなきゃ。俺のために、買ってくれたんでしょ?」

「そうだけど…でも…」

「このまま食べちゃる‼」

箱からそっと、取り出して見たらプレートに“ Bon ナンチャラ”って、書いてある。

どういう意味だろ?

大好き、とかそんなやつだろう。

多分…

「いただきまー」

「待って!」

「え?なんで?食べたいよ~」

「意味わかってないでしょ?ソレ。」

「イミ?」

「そう。意味。俺をってこと…」

「俺を?」

「お風呂入ってからにしよ?ね?」

ニノがそう言うならそうしよう。

「風呂?」

「先に入るね…」

溜めてないけど…っていうか、風呂?

ケーキをもう一度見た。

“Bon appétit.”と書いてある。

どういう意味だろ?

携帯で調べた。

「俺を…ってこと…」

風呂場に走った。

服を脱いで、俺も入った。

「ビックリするな~入るなら言ってよ~」

俺を見ないでシャワーしてる。

後ろから抱き締めた。




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