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僕は君を連れてゆく

第1章 背中

《背中2》

「~となることから…」

授業中、ふと校庭に目をやった。

先生がいた。Bクラスの授業中でランニングしてる生徒をストップウォッチ片手に記録をつけている。

小さい顔で手足がとても長くて…白いTシャツがとても似合っている。
付け足せば、こめかみに光る汗もよく似合う。

(相葉せんせい…)

あの日の放課後、紙ヒコーキの作り方は教わらなかった。

やっと、目が合った。

でも、すぐにそらしてしまった。

あまりにも優しい顔で、俺の頭に触れた手が暖かくて…

目を合わせていると俺の気持ちがバレるんじゃないかと思って…怖くてそらしてしまった。

それから、先生は俺と目が合うとじっと、まっすぐに見てくる。

「二…!」

「ニノ!」

俺かっ!

「はいっ!」

慌てて立ち上がると、授業はとっくに終わっていた…

「なに見てたんだよ?」

「なにって、忘れた。」

「ぼっーとしてたよな?」

昼休みになって売店へ行こうと歩いていると正面から先生が歩いてきた。

「相葉ちゃん、走ってたじゃん!」

「相葉先生!なっ!」

「真面目に走ると早いんだね?」

「俺はいつも真面目だっ!」

こんな風に会話ができたらいいのに。

俺も“相葉ちゃん”って呼びたいのに…

そんな気持ちを隠してみんなと一緒に笑う

目が合った。

「二宮。飯終わったら付き合えよ~」

「ニノ、忙しいね~(笑)先いくよ~(笑)」

ヒラヒラ手を振ってみんなが先へ行く。

「えっ?何すんの?ってか、何で俺だけ?」

「さっき、物理の授業真面目に聞いてなかっただろ?」

誰のせいだ!と思い、少し睨んでやった。

先生は俺にスッーと寄ってきて、

「俺のこと見てただろ?」

バレてるっ!

身体中が熱くなった。

「飯終わったら、体育準備室なっ!」

そう言って、俺の頭をポンっと触って歩いていった。

先生の背中を見つめる。

(何を手伝えって言うんだよ…)

こんなにも、身体が熱くなるなんて…

俺とは反対に涼しそうな白い背中を見つめる。

「せんせい…」


もう一度、目が合った。

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