僕は君を連れてゆく
第35章 空の色
二人で笑って。
笑い声が空へ響いた。
「すごい、綺麗…」
ニノは空を見上げて言った。
「こんなに声が響くんだね。」
確かに。
隣に声が聞こえちまうよ。
「悪いこと出来ないね?」
と、俺の下心を読み取ったかのように言った。
シタかった~
ニノが言う、悪いこと、シタかった~
けど、我慢。
ここじゃぁ。さすがに。
「悪いことってどんなこと?」
ニノの背中に回り、抱き締めながら言った。
「ほらっ!そういうとこ!」
体を捻り、こちらを向いてイタズラな顔を見せてくる。
お湯から少しだけ出てる肩は少し冷たくて。
薄い唇を塞ぐ。
「…ん…」
チュッ、チュッと唇、顎、頬、まぶたと顔中にキスをする。
「もぅ…や…恥ずかしい…」
このまま…
唇に戻り、舌を入れようとしたらニノは口を閉じた。
「ん?」
「ん?」
夜
月が俺たちを照らしてる。
こんな、甘いムードなのに?
お預け?
「ここじゃ、ダメ…」
と、ぞっと俺の肩を押す。
「声、出ちゃうもん…」
ダメって!
マジか!?
出ちゃうもん…って!
マジか!?
俺の中心はニノのその言葉で上を向いたけど、
ここじゃ、ダメだ。
「…だな…」
ニノから少し離れて思ってもないけど言った。
誰に聞かれたって構わない。
そう思う。
だけど、
ニノの可愛い声は俺だけのもの。
背中を流しっこ、とかしたかったけどそんなことしたら、それこそ、暴走しそうだ。
上を向いてる俺の中心は落ち着かないけど。
「先に洗うな。」
交代で髪、体を洗いもう一度、湯船に浸かる。
「大野さん、空と海の境界線ってどこだと思う?」
「どこかな…地平線とか水平線とか言うもんな。でも、きっと、どこかで一つになるんじゃないかな…」
もし、俺が海ならニノは太陽で、月で。
俺はニノをいつまでも眺めていたい。
天候によって左右される海。
俺みたいじゃん?