僕は君を連れてゆく
第4章 春の色
そうしたら、二宮くんはうん?って顔して唇を突き出してきた。
とれってこと…
手のひらに汗がじんわりと滲んできてもっていたフォークを置いて、その唇に手を近づけて…
そっと、取った。
「取れた?」
「あっ、うん。ついてたよ。」
「ありがとう。大野さん。」
ニコッと、笑う二宮くん。
もう、唇から目が離せなくなっていて、残りのペペロンチーノをひたすら食べた。
唇についた鷹の爪を取ったときに俺の人指し指と親指が二宮くんの唇に少し触れた。
わざとじゃない。
決して、わざとじゃない。
でも、柔らかくて…
ただ、目の前でつい昼間に会った男が飯を食べていて。
でも、その男にまた、会いたいなって思ってたのは事実なわけで。
「あの橋のした降りれるんですって。行ったことあります?」
「いや…ないな…」
「桜が咲いたら行きましょうよ。」
そうだねって返事をして…
桜の開花予想を今朝のニュースでやっていたのを思い出した。
「う~ん…」
櫻井がソファの上で呻きだした。
すかさず、松本くんが駆け寄り、
「大丈夫ですか?水飲みますか?」
「水のみたい…」
体を起こしてキッチンへ水を取りに行った。
「なんかいい匂いするな…」
「櫻井のぶんはないってよ!」