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僕は君を連れてゆく

第38章 いつか王子様が

N said



遅い。
いつもはラインしたら、即既読の了解スタンプに大好きだよのスタンプなのに。
それで、バタバタと走って階段を降りてくるのに。

今日はもうラインしてから15分。

「まだかな…」

「二宮、またな~!」

「ねぇ、相葉さん見なかった?」

「進路希望出してないとかで書かされてたよな?」

「そうそう。まだかかんじゃね?」

進路希望調査。
俺は大学の進学を希望したけど、そういえば相葉さんはどうするんだろう。
そういう話、あまりしないな。

普段、学校にいるときのことしか知らないな。

靴を履いて下駄箱にもたれて待っていたけどみんなの話を聞く限りまだ、来なそうだ。

上履きに履き替え教室に戻ることにした。

階段を登り、教室を覗くと。

何やらニヤニヤしてる相葉さんを見つけた。

ドアを開けたら、体を揺らして
「おぉぉ!ビビったぁ!ニノぉ!ごめん。待たせて。」

かなり驚いたみたいでその大きな声に俺も驚いたよ。

「デカイ声だなぁ。何してんの?帰ろうよ。」

相葉さんの席に近づいていく。

「わぁー!わぁ!待って。」
机の上の紙を両手で隠してみたり消ゴムを持って
ゴシゴシしてみたり…

「なに?なに?ラブレターでももらったの?
見せてよ!」

覗こうとするけど、バスケ部らしくガードが固い。
「だめ!これはだめ!」

しまいには立ち上がり右腕を伸ばしてジャンプまでする。
「いいじゃん!何がだめなんだよ!」

そんなに俺に見せたくないってどういうことだよ。

そして、ぐしゃぐしゃにしたと思ったら口のなかに入れようとしてる。

「バカっ!何やってんだよ!」

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