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僕は君を連れてゆく

第40章 沼

―said O



昼休みに担任の中居先生に呼ばれた。

なんとなく、話の内容はわかる。

「お前、卒業出来ねぇぞ?」

「マジで?」

「マジで?じゃねぇよ!音楽、英語も。あと次休んだらもうダメだ。」

教科書を丸めて俺の胸をポカリと叩いた。

「え?マジで?」

「お前なぁー」

はぁー、と溜め息をついた中居先生。

教科書を丸めて、次は俺の頭をポカリと叩いた。

「やれば出来るんだからやれよ。今しか出来ないことだってたくさんあるぞ?」



それから、音楽の単位を取るために合唱コンクールでピアノを弾くことになった。

人前で何かをするのはあまり、好きじゃないけど、
中居先生の言った、
“今しか出来ないこと”が、どんなことなのか、それを俺も出来るのかなぁって思ってやることにした。

「大野くん。放課後、音楽室ね。合唱コンクールのクラスの自由曲決めてちょうだい。」

音楽の橋本先生。
この女の人からはなんか匂いがする。
女の匂いなのか、わからないけど。
頭が痛くなる。

「わかった。」

「ちゃんと、真面目にやってね?中居先生に頼まれて考えたんだから!」

頭は痛くなるけど、この柔らかそうなおっぱいは
いつか触ってみたい。

俺の頭を撫でて教室を出ていった。

音楽室は好きな場所の1つ。

もう一つの好きな場所は図書室。

どちらも静かで夏は涼しいし、冬は暖かいから。

学校自体は嫌いじゃない。

でも、寝坊しちゃうと来るのめんどくさくていいやって思っちゃうんだよな。

「お前。また呼び出し?」

「合唱コンクールの曲決めろって。」

「橋本先生に頭撫で撫でしてもらってたなーお前!触らせろっ!」

「なんだよっ!やめい!」
友達もいないわけじゃない。

「松潤もさっき、音楽室がどーとか言ってたよな?」

「…へー…」

教室に松本くんの姿はもうなかった。






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