僕は君を連れてゆく
第40章 沼
―said M
授業が終わり、音楽室に行くように言われていた。
音楽室は空調が整っていて快適で。
大野はまだ来てない。
課題曲は「大地讃頌」に決まっていて、自由曲は各クラスで決めることになっている。
うちのクラスだけまだ決まっていなくて。
自由曲の候補であろう数枚のCDとラジカセ、他のクラスの自由曲の一覧表が先生の言った通りに教卓に置いてあった。
その前の席に座りCDを手にとってみたけど、正直なところどれでもいい。
「来ねぇな…」
大きく口を開けてあくびをした。
後ろのドアが開いた。
慌てて振り返ったら大野がいた。
「松本くん…」
小さい声で俺の名前を呟いた。
「松本くん、どうして?」
俺は橋本先生から頼まれたことを話した。
おもり役ということは伏せて。
「そうなんだ…」
ドアの前に立ったままそう口にして頭を上げて
俺を見て笑ったんだ。
覗かせた八重歯と長い前髪から見えた顔は思ったよりも幼かった。
「早く、決めちゃおうぜ。」
話してみると、以外にポンポン会話はつながるし
俺の話すことにもコロコロと笑う。
笑う度に見える八重歯が…
「俺の顔になんかついてる?」
「いや、別に…ってか、大野ってピアノ弾けんだね。」
大野は自分の顔をペタペタと触ってる。
「あ、うん。習ってたんだ。」
「いつまで?」
「中2まで。」
「へぇ~。いつから?」
「6歳から。」
「へぇ~。」
「それ、本当に聞きたいこと? 」
さっきから、へぇ~しか言ってないよって、
笑った。
笑う度に見える八重歯。
大野の八重歯…
もしかしたら、このときにはもう、ハマっていたのかもしれない。
授業が終わり、音楽室に行くように言われていた。
音楽室は空調が整っていて快適で。
大野はまだ来てない。
課題曲は「大地讃頌」に決まっていて、自由曲は各クラスで決めることになっている。
うちのクラスだけまだ決まっていなくて。
自由曲の候補であろう数枚のCDとラジカセ、他のクラスの自由曲の一覧表が先生の言った通りに教卓に置いてあった。
その前の席に座りCDを手にとってみたけど、正直なところどれでもいい。
「来ねぇな…」
大きく口を開けてあくびをした。
後ろのドアが開いた。
慌てて振り返ったら大野がいた。
「松本くん…」
小さい声で俺の名前を呟いた。
「松本くん、どうして?」
俺は橋本先生から頼まれたことを話した。
おもり役ということは伏せて。
「そうなんだ…」
ドアの前に立ったままそう口にして頭を上げて
俺を見て笑ったんだ。
覗かせた八重歯と長い前髪から見えた顔は思ったよりも幼かった。
「早く、決めちゃおうぜ。」
話してみると、以外にポンポン会話はつながるし
俺の話すことにもコロコロと笑う。
笑う度に見える八重歯が…
「俺の顔になんかついてる?」
「いや、別に…ってか、大野ってピアノ弾けんだね。」
大野は自分の顔をペタペタと触ってる。
「あ、うん。習ってたんだ。」
「いつまで?」
「中2まで。」
「へぇ~。いつから?」
「6歳から。」
「へぇ~。」
「それ、本当に聞きたいこと? 」
さっきから、へぇ~しか言ってないよって、
笑った。
笑う度に見える八重歯。
大野の八重歯…
もしかしたら、このときにはもう、ハマっていたのかもしれない。