僕は君を連れてゆく
第43章 仰せのままに
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「ショウ!ショウ!」
あれから、ひと月がたった。
庭に出てショウの姿を探す。
「姫…」
ショウは一本の木の前に立っていた。
「何してるの?探したのに…」
「それは、大変申し訳ございません。紅葉が色づいておりまして…」
「もみじ?」
「はい。この木は私の祖母が植えた木でございます。」
ここには昔、世話役の家が建っていた。
その時にショウのおばあ様が植えたんだそうだ。
今は、俺たちと同じ屋敷に住むようになって建物は壊してしまったがこの木はそのままにしてある。
「綺麗だね。」
「段々と寒くなると葉が朱く色づいてきます。」
この紅葉の木が真っ朱になるのを想像した。
「花が咲いてるようだね。」
ショウに話しかけてるのにショウは何も言わず
俺の顔をジッと見てくる。
「なに?」
あの日から、ショウに見つめられると凄くドキドキする。
「姫の頬も赤いです。」
「え?なっ、もう!」
ショウの頭を叩こうとして、その手を掴まれた。
「唇も赤い…」
顔を寄せてくるショウに俺も目を閉じる。
重なる唇。
「んっ…」
もっと、もっと、して欲しい。
「姫…そんな顔しないでください。」
「ショウのせいじゃん!」
「今日は乗馬のレッスンです。」
「分かってる。」
レッスンの時間になるからってショウを探しに来たのに。
「ジュン…今夜、部屋に行くから。」
俺を追い抜かし様に耳元でショウが囁く。
俺は立ち止まった。
屋敷の敷地内でショウが俺を“ジュン”と呼んだ。
しかも、敬語じゃなかったし。
今から胸が…
通り抜ける風が紅葉の葉を揺らした。
ショウの背中を追いかける。
「また、見にきたい。紅葉!」
「姫がお望みならば。」
ショウはいつものショウだった。
おわり
「ショウ!ショウ!」
あれから、ひと月がたった。
庭に出てショウの姿を探す。
「姫…」
ショウは一本の木の前に立っていた。
「何してるの?探したのに…」
「それは、大変申し訳ございません。紅葉が色づいておりまして…」
「もみじ?」
「はい。この木は私の祖母が植えた木でございます。」
ここには昔、世話役の家が建っていた。
その時にショウのおばあ様が植えたんだそうだ。
今は、俺たちと同じ屋敷に住むようになって建物は壊してしまったがこの木はそのままにしてある。
「綺麗だね。」
「段々と寒くなると葉が朱く色づいてきます。」
この紅葉の木が真っ朱になるのを想像した。
「花が咲いてるようだね。」
ショウに話しかけてるのにショウは何も言わず
俺の顔をジッと見てくる。
「なに?」
あの日から、ショウに見つめられると凄くドキドキする。
「姫の頬も赤いです。」
「え?なっ、もう!」
ショウの頭を叩こうとして、その手を掴まれた。
「唇も赤い…」
顔を寄せてくるショウに俺も目を閉じる。
重なる唇。
「んっ…」
もっと、もっと、して欲しい。
「姫…そんな顔しないでください。」
「ショウのせいじゃん!」
「今日は乗馬のレッスンです。」
「分かってる。」
レッスンの時間になるからってショウを探しに来たのに。
「ジュン…今夜、部屋に行くから。」
俺を追い抜かし様に耳元でショウが囁く。
俺は立ち止まった。
屋敷の敷地内でショウが俺を“ジュン”と呼んだ。
しかも、敬語じゃなかったし。
今から胸が…
通り抜ける風が紅葉の葉を揺らした。
ショウの背中を追いかける。
「また、見にきたい。紅葉!」
「姫がお望みならば。」
ショウはいつものショウだった。
おわり