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僕は君を連れてゆく

第44章 みんな、知ってた


うわー
あー
もうー

俺たちが楽屋にいること忘れてんのかい?とツッコミをいれたくなる気分だよ。

鏡の前で俯き体を震わせるニノ。

大野さんの両方の拳にギュッと力が入ってるのが分かる。

今、ニノを抱き締めたくて仕方ないんだろう。

してやればいいのに。なんて。

二人らしく前に進めそうだなぁって。

松潤と目があった。




楽屋の中はニノとリーダーの声が響いていて。

そばにいたマネージャーはオロオロし始めたから、出てけって合図してやった。

相変わらずニノはツンツンしてるけど、俯くその姿は寂しくて震える猫みたい。

リーダー。ここは男らしくいけよ。

どんなリーダーだってニノは大好きなんだから。

きちんと、気持ちを伝えてほしい。

そう思う。

相葉くんを見たら、泣きそうじゃん。




あぁ…
泣きそう…俺…

ニノの気持ちがやっとリーダーに届くかもしれない。

よかったね。

こういときは素直になるんだよ?

意地張ってないで。

言いたいこと言わないと。

リーダー、ニノがどんなこと言ってもそれは照れ隠しなんだから大きな気持ちで受け止めてあげてね。


俺たちはみんなで目を合わせてそっと、楽屋から出た。

「なんかさ、巣立つ小鳥を見守る親鳥の気分だわ。」

「わかる…ってか、なんであなたが泣く?」

「なびてなびっ!(ないてないっ!)」

「泣いてるし…」

「お兄ちゃんは寂しいですか?」

うんうんと頷く相葉くん。


相葉くんを間に挟み、肩を組んだ。

「飲み行くか?」

「おれ、あじだ、早い…」

「いや、今日は行くでしょ?」

泣きすぎて何を言ってるか分からない相葉くんとそれにつられて泣きそうな松潤。

親鳥は嬉しいよ。



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