僕は君を連れてゆく
第44章 みんな、知ってた
膝にぐしゃぐしゃに絡まってるズボンとパンツ。
汗ばむ上半身。
涙ぐみ、髪を乱して肩で息をする恋人。
「無理させた?」
ニノは首を振った。
「俺…変じゃなかった?」
「???」
「変な声だったでしょ…」
「ばぁか!可愛すぎてエロすぎて最高だ。バカ!」
「なっ!!何回、バカって言うんだよ、もう!」
ニノは起き上がった。
グショグショの下着を履きながらズボンはその場に落っことして。
「風呂行こ…」
マジか…
お風呂で体を洗いっこしながら、ニノの体を弄った。
余韻のせいか、お風呂のせいか、それのどれもなのか、ニノの体は敏感に反応した。
逆上せ気味になったニノと風呂を出てパンツを履いて。
Tシャツを着て。
汚しちまったからベッドに行けないからソファーに座った。
「もう、眠い…」
ゴシゴシと目を擦るニノ。
「寝ちゃえよ…」
「やら。ここで寝たら腰痛くする…」
と言いながらも膝に頭を乗せてきた。
「……」
「寝たのか?」
「……」
「おいっ!」
鼻の穴に指を突っ込んだら笑った。
「起きてんじゃん!」
「もう、眠いんだからやめてよ~」
俺を見上げるニノの顔。
「最近はさ…」
ニノがゆっくりと話し出した。
「あなたのどこが好きなんだろうって、考えたりさ。もう、毎日ドキドキしてて。おかしくなりそうだった…なのに、あなたはいつも通りで…悔しくてさ…」
まだ少し濡れてる髪を撫でるとニノは気持ち良さそうに目を閉じた。
しばらくしてたら寝息が。
「寝てやがる…」
ベッドを片付けて二人で寝ようと思ってたのに。
でも、これはこれで…
明日、俺が腰痛くなんじゃん。
俺たちはいつも通りの俺たちで。
それはこれからも変わらない。
友達でもない、仕事仲間でもない。
ニノ。
ニノ。
ニノ。
恋人。
俺の恋人。
「寒っ…」
膝枕をそっと外して狭いソファーに俺もニノの横に入り込む。
ニノを落とさないように抱き締めた。
「ふぁぁ…寝よ…」
おわり