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僕は君を連れてゆく

第45章 ただ、ただ、愛しい

寝て起きたら、体が怠い。

昨日、体が冷えたのかもしれない。

「和也、早く食べちゃって」

あんまり、食欲がない。

「コーヒーだけでいい」

「ちゃんと、食べないと…もう…」

母さんは朝から色んなのをだしてくるけど、俺はほとんど手をつけない。

朝から口に物を入れるなんて…無理…

いつものように薬を飲もうとしてたんだけど。

熱っぽい体が少しいつも違う判断をさせた。

「これ、風邪薬?」

「そうだけど?具合悪いの?」

「う~ん、なんか熱っぽいんだよね、昨日寒くてそのまま寝ちゃったからかな…」

「飲んでおけば?」

抑制剤を飲む代わりに風邪薬を飲んで家を出た。

いつもと同じ道だけど…

やっぱり、なんか…

マスクをして下を向いて歩く。

「もう、冬になっちゃうなぁ」

そろそろ、コートも出さないといけない。

カイロも買ってもらおうかな。

「にしても、なんだよ」

なんだか、周りの視線が気になる。

そんなに具合が悪そうなのかな、俺。

マスクしてるし、それもそうか。

薬、飲んできたけど全然効かないし。

学校についてもその視線は集まりばかり。

だけど、俺は体調のせいでそんなのに気がつかず。

「おい、ニノ、なんか今日…」

「あんま、寄んないで…風邪うつしちゃうから」

「風邪なの?」

潤くんの手が俺のおでこに触れた。

「んっ」

自分から出た甘い声に驚く。

「お前、なんて声っ」

スルッと頬へうつった手。

「やっ」

ガタッと周りの奴らが立ち上がる。

「ニノ、それ風邪じゃねぇよ…」

「クラスメイトのヒートとか初めてなんだけど」

立ち上がる俺を囲んだのはαの面々。

「ヒート?嘘っ」

「すんげぇ、匂い」

「ニノ、やべぇよ」

潤くんも斗真も…みんな、いつもと顔つきが違う。

視線を交わしたらダメだ。

逃げなきゃ…

椅子から立ち上がろうとしたら、腕を掴まれた。

「きやぁ!」

「行くぞ」


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