
僕は君を連れてゆく
第47章 OTR from.BB
俺たちは報告もそこそこに家に帰れと言われた。
「二宮、お疲れだった…それに……あとは相葉と話し合え、な?すぐに帰れ!報告書は来週でいいから」
帰宅命令だ、と一課長に言われてしまえば帰る以外に選択肢なんてなくて。
ロッカーで新しいワイシャツに着替えていたら背中にものすごい視線を感じる。
「見んなよ…」
「………ニノ…」
ガバッと背中から抱き締められる。
首筋を相葉の鼻が掠め、チュウと耳たぶに口づけられる。
「ちょ…ここ、どこだとっ」
「怖かったよね…ごめんね」
相葉の体は震えていた。
「俺が守るって、あのとき、そう誓ったのに…
本当にごめん」
「…相葉…」
誰かが傷つくのなんて、仕方がないって思ってた。
俺が傷つくのは、当たり前って思ってた。
だけど、俺のために傷つくお前を見ていると、
俺が傷つくことは悪いことなんだって。
「相葉…ウチ、帰ろ?」
相葉の運転はとっても穏やかで…
心地のよい揺れにまぶたが下がってくる。
「いいよ、寝てて」
そっと握られた手から優しさが伝わってくる。
気持ちいい。
久しぶりに乗った相葉の車は変わらず静かで。
「あ、ほら」
信号で止まったときに後部座席に体を捻って何かをとった。
それは膝掛けで。
「あったかいよ?」
「ありがと…」
そっと、外に目をやると窓ガラスに自分の顔が写った。
その顔は見たことない顔で。
自分で言うのもあれだけど、ものすごく幸せって
表情から溢れてきてる。
こんな顔をずっとしていたのかなぁ。
「かず…」
「へ?」
「呼んだだけ」
「…もぉ~、バカ」
相葉の顔も、俺と同じ。
俺のこと、好きって言ってる。
そんな顔が悔しいんだけど
めちゃくちゃ、かっこいい…
