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僕は君を連れてゆく

第51章 左斜め上

雑誌のなかで色白で黒髪の華奢な体つきの男がムキムキの浅黒い肌した男と密着して写ってる。

肝心なところはモザイクがかかっているが、
何をしてるか、なんて一目瞭然。

それから、男同士の動画を探しては見て、
頭のなかでニノに置き換えて。

でも、それだけじゃぁ、もう足りない。

あの日、いつものように家に寄ってゲームして帰っていったニノ。

いつもと何も変わらなかった。

だけど、ニノが帰ってからその日のニノを思い出して体が熱くなって雑誌を見ようとしたけどいつも隠したところになかった。
ベッドと壁の隙間。
そこに雑誌一冊くらいなら入る隙間があって、前は女の子が載ってるエッチな雑誌だった。
それだって、ニノとこのベッドに二人で寝転んで見たりしたのに。

まさか、母ちゃんにみつかったのかと思ったけど
母ちゃんなら騒ぐに決まってるから母ちゃんじゃない。

なら、誰?

それなら、ニノしかいない。
あそこで寝転んでたもん。

次の日、ニノは朝、俺を置いて先に学校へ行ってしまった。
今までそんなことなかったのに。

教室にいたニノはいつも変わらなかった。

でも声をかけたら、いつもと全然違った。

一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、間があった。

それに口元をやたら隠して話す。

照れてるときもそれをやるけど、大概は顔を隠したい時にやるしぐさ。

このときに、ニノだって。

あの雑誌を持って帰ったのはニノだって。

ねぇ、どう思った?
男同士でエッチなことするの。
俺があんな雑誌見てること、どう思った?
引いた?

俺はニノとシタイ。

ねぇ、どう思った?



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