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僕は君を連れてゆく

第53章 ミモザイエロー


「ごめん!」

「俺も今来たとこ!」

駅前で待ち合わせをして二人の休みがあう前日の夜は外で食事をすることにしてる。
(ちなみに給料日あとなら尚更)

だいたい、入る店は決まっていたけど、先週オープンしたイタリアンのお店に入りたくて少し二人で歩いた。

「ここ!」

「おしゃれだね」

真っ白な外壁にイタリアの国旗が掲げてあって。

店に入ろうとしたら中からドアが開いた。

「いっらしゃいませ」

席に案内されて座るとおすすめの料理やワインを説明される。

「なにする?」

メニューを眺めながら雅紀に聞く。

一つのメニューを覗きながら、雅紀をそっと盗み見る。

長めの前髪が目元にかかっていてこちらからはその表情全体を把握するのは難しい。

髪の色も抜けてきてだいぶ明るくなっていた。

「だいぶ、髪伸びたね」

「あ~、そろそろ行かないとな…めんどくさいなぁ」

目にかかる前髪を後ろにかきあげる。

その時に少しだけそる首に現れる喉仏が
俺は好きなんだ。

「ピザにしよーぜ」

お勧めという菜の花としらすのペペロンチーノと
シーフードのピザを頼んだ。

「今日さ…」

雅紀に今日、総務課での出来事を話した。

「あぁ、女の子ってのは話があちこち飛ぶんだよな」

俺たちは交際してる人がいることは周りに話してる。

でも、同性とは言ってなくて。

でも、同性と同居してることは話してる。

言いたくないわけじゃないけど、わざわざ聞かれてもないのに男と付き合ってるなんて言う必要ないと思うから。

聞かれれば、そりゃぁ、俺だって…

「ゲイじゃねぇよな」

雅紀はタバコを吸おうとしたけど、店員に禁煙だと言われてまたしまった。

そう。
俺たちはゲイじゃない。


じゃぁ、俺たちってなんなの?


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