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僕は君を連れてゆく

第53章 ミモザイエロー

Masaki

和が変だ。

何か余計な事を考えてる。

昨日の休みは結局家にいた。
前日の夜、お風呂場で一度、愛し合った俺たちは
ベッドの中でももう一度愛し合った。

何か、隠そうとしてる?

思い違いなら、いいんだけど。



「雅紀、飲みに行かね?」

翔ちゃんに声をかけられ時計を見るといい時間だった。

今日は和も遅くなるだろうから、いいよって返事をした。

「あれ?相葉さん、今日ははやーい!」

エレベーターを待っていたら、後ろから声をかけてきたのは事務の女性社員だ。

「あ、俺ら飲み行くんだけど、一緒に来る?
いいよな?雅紀!」

「あぁ」

二人の名前を必死に思い出そうとするけれど、全然思い出せなくて。

和に【翔ちゃんたちと飲みに行くね】とLINEをした。

「彼女さんに連絡ですか?」

髪の長い方が問いかける。

「いいや(彼女、ではない)」

「えっー!だって、顔がなんか違うよね?」

「同居されてる方がいるんですよね?」

髪の長い方がさらに問いかける。

「うん、そう。え?なんで?」

翔ちゃんを見たら、バラシタって顔に書いてあった。

「相葉さん、彼女いるじゃないですかぁ~」

茶髪のワンレンの女子が言う。

「まぁまぁ、雅紀の話なんて面白くないから、なに食べたい?」

いつも行く居酒屋に入った。

俺のとなりに座る、長い髪の方。

「宮崎さん、何飲む?」

翔ちゃんがメニューを差し出す。

思い出した。

宮崎さんに、秋田さんだ。

どこか、土地の名前だなぁって思ってたけど。

でも、髪の長い方が色白だし秋田っぽいのに、
宮崎さんで、茶髪のワンレンの方が秋田なんだ。

「うふふ」

「?なに、笑ってるんですか?」

「いや、名前。やっと思い出したなぁって…」

「「え?!」」

「「ひどーーい!!」」

ビールジョッキが4つ運ばれてきて。

ジョッキを鳴らした。

それから会話は弾んだ。ほどよく酔いも回って。

俺はトイレに席を立った。


***


「相葉さんの同居人ってどんな人なんですか?」

「俺もくわしく知らねぇんだよ。教えてくれないの」

「へぇ」

「でも、同居人のことを大切にしてるのは確かだな。なに、気になる?」

「素敵ですよね、本当に…」



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