
僕は君を連れてゆく
第53章 ミモザイエロー
「んっ…」
「雅紀…雅紀!起きろよ!」
体を揺すられて目が覚めた。
「起きれる?そろそろ起きないと」
すでにワイシャツを着てる和が俺に話しかける。
「うん…あっー、もっと寝てたい」
和の腰に腕を巻き付けてどさくさにまぎれて膝枕をしてもらう形になった。
「無理するなよ…」
俺の背中をポンポンと叩く。
うふふ、優しい…
「よしっ!起きよ!」
体を起こして和の頬にキスをする。
「こっちにも」
そのまま体を引き寄せられて和からキスをされる。
「んっ…」
音を立てて離れた唇。
「さみしかったの?」
「バーカ」
ふいっと顔をそらされてしまったけど、こんな和は珍しい。
「今日は早く帰ってくるよ」
「いや、俺が今日は遅くなるかも」
「えー!そうなの?」
鞄の中身を確認してたら、昨日のハンカチが出てきた。
「そうだ、ワイシャツ、クリーニング出すんだけど和はなんか出すのある?」
「じゃぁ、ネクタイ出そうかな」
俺にコーヒーを出してくれる。
顔を洗い歯磨きをして。
タオルで顔を拭きながら、昨日のことを思い出す。
「なぁ」
「ん?」
「日付変わるくらい遅くなるならLINEでもいれてといてよ」
こっからは和の背中しか見えない。
「ん?」
「昨日、すごい遅かったでしょ?」
「昨日だけだよ、たまたま」
「うん。あっ、俺行くね…これ、キッチン用の使えばとれるじゃない?」
スッと出されたハンカチ。
「あっ、そうなんだ、ありがと!行ってらっしゃい」
キッチンに移動してハンカチを浸けた。
LINEして…って…
あっーー!!!
慌てて携帯をタップしてアプリを開く。
「あぁ、やっぱり…俺、連絡してなかったんだ」
そこには文字はうってるけど送信ボタンを押さずに残されたメッセージがあった。
冷蔵庫を開けたらお皿がある。
「作ってくれてたんだ…」
翔ちゃんに電話をいれてしまい和に連絡するのを忘れていた。
あとで、謝ろ。
