
僕は君を連れてゆく
第53章 ミモザイエロー
「二宮さん!これ、数字間違えてますよ」
「え?」
みきちゃんが領収書を持って俺の前にいた。
「この数字じゃぁ、とおりませんよ」
「あぁ、ごめん、ごめん」
「…二宮さん、ランチ行きません?」
「え?」
「行きましょ!」
スマホを取り出したみきちゃんは誰かに電話をかけている。
会社を出ようとエレベーターを降りたら、あみちゃんともう一人。
「あみ!」
「私たちも一緒にいいですか?」
あみちゃんの隣にいたのは潤くんだった。
「なんだ、潤くんか」
「なんだって、なんだよ!」
四人で定食屋さんに入った。
3人はたまにランチを一緒にしているらしい。
俺は弁当だから知らなかった。
「なんかあった?」
「え?」
「唐突だよ。聞き方があるでしょ」
「俺に聞けって言うから…」
「はいはい、潤に頼んだ私がダメだった」
???
「ねぇ、もし違ったら悪いんだけど…二人はお付き合いしてるの?」
「え!?」
「え!?」
「知らなかったんですか?」
みきちゃんは手を叩いて大笑いで、潤くんとあみちゃんは顔を見合わして首をすくねた。
「二人はそろそろ結婚ですよ!」
「そうなの?」
「そう…「いや、まだです!」」
「え?」
「プロポーズされてないもん」
「するって!」
「やだ、そんな軽いの」
「プロポーズは重さじゃないし」
「意味わかんない!」
「仲いいね」
「二人の話じゃないよ!二宮さん、悩んでます?」
みきちゃんに真剣な顔で見つめれる。
そらした途端
「なに、照れてんだよ」
「うるせー」
「珍しいミスですよ、数字を打ち間違えるなんて」
「ため息つくか、ぼんやりしてるか、そんなだよお前」
三人はある意味、興味津々な顔で俺を見てくる。
何を話せって?
男の恋人がいて、女にとられそうで悩んでるって?
そんなこと、言えるわけないだろう。
