僕は君を連れてゆく
第53章 ミモザイエロー
「みきには、私が紹介したんです!潤の先輩で面白い人いるよって」
「へぇ~」
「ダブルデートに何回も行ったよな?」
「二人とも奥手なんだもん!」
潤くんとあみちゃんが喋るのを頷きながら聞いてる。
ふたり。
するとおもむろに立ち上がった大野さん。
「智さん?」
「一緒に住むか!」
「え?」
「一緒に住むぞ!」
「…はい…」
「みきぃ~!!!」
みきちゃんに、抱きつき自分のことのように喜ぶあみちゃん。
そんな二人を見てる雅紀はなぜか、鼻をすすってる。
「え?なんで?」
「大野さん!今の、めっちゃ、カッコいい!」
「もう、断言しちゃうところがらしいわ~」
と、言う潤くんの目にも光るものが…
お酒の力もあってたくさんおしゃべりをした俺ら。
こんな日がくるなんて。
「二宮さん、素敵な人ですね、相葉さん」
「そうかな?」
雅紀がトイレに行ったらみきちゃんが俺に話しかけてきた。
「そこは、素直に言わないと!」
「…うん、俺には、もったいないくらいだよ…」
「ふぅ~!」
「ご馳走さまです!」
「からかうなよ~素直になれって言ったんだろ~」
「相葉さんの二宮さんに対する無償の愛が伝わってくるもん」
「無償の愛…」
「紹介してくれて、ありがとな和」
肩をグッと抱かれる。
「潤くん…」
途端にガッと潤くんの肩を掴む手が。
「雅紀?」
「いや、ごめん!つい!」
「大事な和に手なんか出さねぇよ~」
「アハハハ!」
無償の愛か。
こういうことなのかも。
俺たちは男同士で。
それはこれからも変わることはない。
誰を好きになっても、恋人になっても、
愛情の重さはその人、それぞれだ。
愛を育てることは、花を育てることに似てると
聞いたことがある。
花を贈ろう。
愛するあなたへ。
俺はこれからも雅紀に愛されたいと願う。
だから、俺も雅紀を愛する。
それだけ。
ただ、それだけ。
【End】