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僕は君を連れてゆく

第54章 ただひとつの答え

「名前?」

「なんで、俺の名前?」

俺の持つ万年筆を指差してる。

ん?

「そこに、s h oって、彫ってありますよね?だから、名前かな?って…当たり?」

俺は頷いた。

「やったっ!!」

「なんだ、なんだよぉ~ビビったわ~!俺、好かれちゃってるんだと思ったわ~」

恥ずかしすぎる。

なんて、勘違いをしてたんだ。

「好きだよ」

「そうだよね、好きだよねぇ…ん?」

「俺、しょうさんのこと好きだよ」

バチっとウィンクをされてしまった。

「ん?」

「俺、好きだよ、しょうさんのこと」

鉄板で焼いてるお好み焼きがジューっといい音がしてる。

「俺?」

「顔、すごくタイプ♡」

そう言ってグラスに入ったコーラの氷をガリっと噛んだ。

「ほら、焦げちゃうよ?食べよ?」

お好み焼きにきれいにソースとマヨネーズを装飾してきれいに4等分にした。

その一つを皿にのせ俺に差し出す。

「あつっ」

なんで俺?とか聞きたいことたくさんあるけど、
美味しそうに頬張る顔を見ていたら自然と箸に手がのびていた。

「うまっ」

「ね?うまいね」

それから、俺についてあれこれと質問されて。

食べながら、飲みながら答える。

「しょうって、どういう字書くの?」

「飛翔の翔だよ」

「名字は?」

「さくらい。櫻、難しい方に井戸の井」

「何歳なの?」

「28」

「どこに住んでるの?」

「ここまっすぐ行ってコンビニあるだろ、そこ曲がって突き当たりのマンション」

「恋人いる?」

「フリー」

それはまぁ、たくさんと。

そして、こいつは乗せ上手というのか、聞き上手というのか、たくさんのことを俺に喋らせた。

「じゃぁ、俺を泊めて?」

「そうか、そうか。泊まれ!」

「やったぁ!ありがとう!翔さん♡」

ん?

酔ってるせいか頭が回らない。

でも、こいつ嬉しそうに笑ってる。

まぁ、いいか。


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