僕は君を連れてゆく
第8章 上下問題
ゆっくりドアを開けて部長室に入った。
大きな水槽。
メダカは今日も仲良く肩を並べて泳いでる。
「なぁ…お前たちもいちゃいちゃしてんの?」
あれから、そんな雰囲気になることもある。
でも、キスをしただけで部長はうっとり、そう、
うっとりするんだ。
それを俺がさせてるんだ…
あの切れ者の部長がキスだけで足を震えさせて…
俺にしがみついて両腕をギュッと掴むんだ。
それを俺がさせてるんだ…
この、優越感。
今まで味わったことはない。
「やべぇ。思い出しちったよ…」
水槽に抱きついた。
「部長…」
あの、唇…
初めて触れた時は二人して緊張しちゃって
歯がカチンってぶつかって…
仕切り直して可愛くキスしたんだ。
「翔さん…」
水槽を抱き締め、その冷たい感触が気持ちよくて…
翔さんの柔らかいあの唇を思い出して…
「ちゅぅぅぅううう♡」
水槽に唇を寄せて…
「欲求不満なの?」
「えぇぇぇっっっ!!!!!」
見られたっ!
「何勝手に入って来てんだよ!」
「潤くんこそ…公私混同してるんじゃないの?」
ゆっくり俺に向かって歩いてくる。
「公私混同って!ちげぇよ。別に…」
とは言うものの見られたくないところを
見られてしまい、逃げ腰になる俺。
俺の目の前まで来た二宮が
ダンっと水槽に手をついて俺の腰に腕を回した。
「なん…だよ…」
その間に俺の足の間に膝を入れてツンツンと
刺激してくる。
「なにすんだよっ!やめろっ!」
「教えてあげよっか?お・と・こ♡」
スルリと空いてる右手で俺の股間を撫でた。
「そこまでだ。二宮。」