僕は君を連れてゆく
第8章 上下問題
ドアにもたれて、真顔で腕を組んでる翔さんがいた。
「あの!翔さん。これは…違うんだ!」
パッと俺から離れた二宮は俺にウィンクをして
部長の方を見た。
「見られちゃったな。残念!」
ジリジリと翔さんに近寄っていく。
何を言うんだ?やめてくれっ!
「お前、潤に何してんだよ。」
怒ってる!怖い‼
「しよーとしたら、邪魔が入ったんだけどね。
悩んでるみたいだから色々、教えてあげようと
思ってね。」
翔さんがチラリと俺を見た。
あとはごゆっくりと、部長室から出ていった。
あいつ…
何を言いやがるっ!
「潤…」
怒られるっ!
そう思ったら、ギュッと抱きついてきた。
「やめてくれよ。冗談でもやめてくれよ。」
翔さん…
「悪い…職場でこんな…」
離れようとする翔さんを今度は俺が抱き締めた。
「本当にごめん。俺には翔さんしかいない。」
背中に腕を回してくれて
この流れはキス…
首を傾けて顔を近づけたら
翔さんの右手の人差し指が俺の唇に触れた。
「こら!」
「ダメ?」
「あとでな。」
「待てないよ…」
「ここでは、ダメだ…」
強情だな…
グッと腰を押し付けて、
「じゃぁ、今夜は?」
「それは…お前の仕事次代だ。」
たまんねぇ~
「期待しててね?」
名残惜しいけど仕方ない。
早く仕事を終わらせないと。
「でわ、この件は後程。」
頭を下げて部長室を後にした。