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僕は君を連れてゆく

第8章 上下問題

―翔side―

まさか、あんな場面に遭遇するなんて。

今日も潤と昼食の時間が合わなかった。

仕方ない。

今夜、会えるし…

他部署の部長たちと昼食を共にして自分のオフィスに戻ってきたが、まだオフィス内に人はまばらで
潤の姿も見えなかった。

部長室まで来たら中から話し声がする。

そっと、聞き耳を立てたら
愛しの潤の声。

だけじゃない。

頭に血が昇ってつい、口を挟んでしまった。

あの、潤の怯えた顔。

二宮の楽しそうな顔。

あいつ…

思わず、抱きついてしまった。

別に潤を疑ってるわけではない。

二宮とのことだってからかって遊んでるんだと思う。

頭では分かってるんだ。

でも、体が動いてしまった。

抱きついた潤はやっぱり潤だった。

一瞬、体を強ばらせたけどすぐに優しく強く抱き締めてくれた。

なんて、ここは…

この腕のなかは俺のもの。
俺だけのものだ。

うっとりしそうになって、気がついた。
ここは会社だ。

しかも、自分のオフィス。

ダメだ。

「期待しててね?」

あの、顔。

さっきまで、怯えていたくせに。
急に、上から俺を見る。

押し付けられた腰に反応しそうになって…

「夜まで我慢だ…」

潤…

どんな、俺でも受け止めてくれるよな?

「俺、めっちゃ、期待してる…」

自身の反応に驚いて…

恥ずかしい…//////




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