僕は君を連れてゆく
第1章 背中
《背中6》
「あとは日誌か…」
日直が日誌を書いて職員室に持ってくることになっている。
「今日は赤羽と…二宮か…」
俺は陸上部の顧問をしている。
部活が始まる時間も迫っていたため教室へ足を運んだ。
紙ヒコーキを手に持つ二宮が見える。
手から離れたそれはすぐに落ちていった。
「どうやんだよ…」
白い半袖のシャツ。袖から覗く白い腕。
少しハネた襟足。
自分のなかに沸き上がる熱。
そっと教室に足を踏み入れ、俺の机から昨日折った紙ヒコーキを二宮の方に向けて飛ばした。
二宮を追い越す紙ヒコーキ。
「紙ヒコーキ…」
二宮が振り返る。
驚いたような嬉しいようなそんな顔だった。
「俺の勝ち。だな?」
二宮を追い越していった紙ヒコーキを取りに行く。
唇が微かに動いている。思わず触れそうになって頭を叩いた。
もう、ごまかせない。
俺はもっと、もっと、お前と話がしたい。
背中に感じる熱を真正面から受け止めたい。
俺にぶつけてみろよ?
もっと、もっと、俺にぶつけてみろよ?
「教えてやろうか?よく飛ぶ紙ヒコーキの作り方?」
もう、離さない。
「あとは日誌か…」
日直が日誌を書いて職員室に持ってくることになっている。
「今日は赤羽と…二宮か…」
俺は陸上部の顧問をしている。
部活が始まる時間も迫っていたため教室へ足を運んだ。
紙ヒコーキを手に持つ二宮が見える。
手から離れたそれはすぐに落ちていった。
「どうやんだよ…」
白い半袖のシャツ。袖から覗く白い腕。
少しハネた襟足。
自分のなかに沸き上がる熱。
そっと教室に足を踏み入れ、俺の机から昨日折った紙ヒコーキを二宮の方に向けて飛ばした。
二宮を追い越す紙ヒコーキ。
「紙ヒコーキ…」
二宮が振り返る。
驚いたような嬉しいようなそんな顔だった。
「俺の勝ち。だな?」
二宮を追い越していった紙ヒコーキを取りに行く。
唇が微かに動いている。思わず触れそうになって頭を叩いた。
もう、ごまかせない。
俺はもっと、もっと、お前と話がしたい。
背中に感じる熱を真正面から受け止めたい。
俺にぶつけてみろよ?
もっと、もっと、俺にぶつけてみろよ?
「教えてやろうか?よく飛ぶ紙ヒコーキの作り方?」
もう、離さない。