僕は君を連れてゆく
第57章 名前のない僕ら ―身勝手な恋心編―
電車を降りたら、クラスの女子に腕を組まれる。
肘に当たる柔らかい感触に鼻の下がのびる。
「ん?」
俺を見上げるその顔は可愛い。
「可愛いなぁと思って」
「えー、やだぁー」
パシンと叩かれ、笑う。
「食っちゃいたい」
耳に息をかけるように呟いた。
桜色に染まる頬に上がる口角。
可愛いなぁ…
女の子って。
俺、女の子大好き。
それなのに、気になるのは男で、兄貴で。
相葉センパイの耳と兄さんの耳を繋ぐ白いイヤホン。
何を二人で聞いてるんだろう。
兄さんにメッセージを送る。
俺のことを考えるように。
俺のことだけで、頭がいっぱいになればいい。
「ね、ニノ、今度さライブ行こうよ!」
相葉センパイはモテる。
背も高いし、顔も小さい。
爽やかな笑顔で誰とも分け隔てなくしゃべる。
放課後の体育館はバスケ部の相葉センパイを見に人が溢れかえる。
俺も誘われて見に行ったことがあるけど。
ちなみに俺は帰宅部。
バイトもしてるし、遊びたいから。
誘われて、サッカー部や野球部に顔をだして、
入部をすすめられるけど、断ってる。
相葉センパイのことを狙ってる女子はたくさんいるのに、特定の彼女がいたことはない。
部活を優先したいと、断られるらしいけど。
兄さんに話しかける姿は優しいんだ。
俺には見せないような顔を兄さんはする。
それが、相葉センパイの力によるものってのが
本当に気にくわない。
兄さんが俺を見てる。
【誘われたから、帰り遅くなる】
俺のことだけ、考えればいい。
肘に当たる柔らかい感触に鼻の下がのびる。
「ん?」
俺を見上げるその顔は可愛い。
「可愛いなぁと思って」
「えー、やだぁー」
パシンと叩かれ、笑う。
「食っちゃいたい」
耳に息をかけるように呟いた。
桜色に染まる頬に上がる口角。
可愛いなぁ…
女の子って。
俺、女の子大好き。
それなのに、気になるのは男で、兄貴で。
相葉センパイの耳と兄さんの耳を繋ぐ白いイヤホン。
何を二人で聞いてるんだろう。
兄さんにメッセージを送る。
俺のことを考えるように。
俺のことだけで、頭がいっぱいになればいい。
「ね、ニノ、今度さライブ行こうよ!」
相葉センパイはモテる。
背も高いし、顔も小さい。
爽やかな笑顔で誰とも分け隔てなくしゃべる。
放課後の体育館はバスケ部の相葉センパイを見に人が溢れかえる。
俺も誘われて見に行ったことがあるけど。
ちなみに俺は帰宅部。
バイトもしてるし、遊びたいから。
誘われて、サッカー部や野球部に顔をだして、
入部をすすめられるけど、断ってる。
相葉センパイのことを狙ってる女子はたくさんいるのに、特定の彼女がいたことはない。
部活を優先したいと、断られるらしいけど。
兄さんに話しかける姿は優しいんだ。
俺には見せないような顔を兄さんはする。
それが、相葉センパイの力によるものってのが
本当に気にくわない。
兄さんが俺を見てる。
【誘われたから、帰り遅くなる】
俺のことだけ、考えればいい。