僕は君を連れてゆく
第58章 この手をのばして
「やだぁ…痛い…」
サラリーマンは遠慮なく腰を揺らしてくる。
ギチギチの俺のなかに無理やり押し入ってくる感覚は爪を剥がされてるようで。
目から涙、鼻から鼻水を垂れ流して許しを乞う俺。
なんて、惨めなんだろう。
「出るわ」
サラリーマンは体を震わせ俺の中に吐き出した。
ズルリと抜けたソコはまだひらいたまま、呼吸をしてるかのよう。
痛い…ジンジンする…
トイレットペーパーをカラカラと回し自身を拭いサラリーマンは出ていった。
俺は便座を開けてそこに座った。
タラリと中から落ちてくるこの感触。
慣れたような。
「なんで、俺ってこーなんだろ」
便座に座ったまま頭を抱える。
毎日、こーやってあてもなくフラフラして。
男だから、男の身体を試してみない?なんて台詞で
ホイホイお風呂に寝床をゲットして。
運が良ければ夕飯もついてくる。
興味本意の行為は優しさ、なんてものはまるでなくて。
男だから多少無理言ったっていいだろうと。
「優しくしてほしいなぁ…」
トイレットペーパーでお尻を拭いたら血がついてて。
「痛い…しばらくうんち出来ないじゃん…」
出るけどさ…
情けない、本当に情けない。