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僕は君を連れてゆく

第61章 名前のない僕ら =僕らの幸せ編=

いつの間にか頭を動かして膝枕になっていて。

「モテる…とか周りがどうとかそんなんじゃなくて。もう潤でいっぱいだから他の人なんて入るところないんだよ。それとも俺のこと、信じられない?」

頭を撫でやると潤は目を閉じた。

「信じてるよ、だけど。俺がさみしいんだよ」


長い睫毛は一本、一本も太くて。


「じゃぁ、来年受けてよ。待ってるから」


「え?」


大きく開いた瞳に写るのは俺。


「待ってるからね、潤」


おでこにそっとキスをする。


バサっと起き上がり俺を押し倒す。


そっと手を差し出すと指を絡めてくれる。


「兄さん…好きだよ」


「好き」


「俺だけの兄さん…」


「そうだよ」


最初からそうだった。


俺を押さえ付ける弟に囚われる自分が情けなくて。


だけど、そんな状態に興奮してるのも確かで。


理由は簡単だった。


好きだから。


抱かれたいと思っていた。


弟に。


「あっ…」


「兄さんっ…」


「んっ、ぁあ…」


「っぁ…あ…」


「キモチいい…」


重なる手のひらを強く握れば、さらに強い力で握り返される。


俺を貫く熱い塊。


俺を痺れさせる声もしぐさも。


なにもかも。


俺たちはもう戻れない。






【おわり】

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