僕は君を連れてゆく
第62章 夢の向こう側 MN
二人で暮らすようになって。
それに比例して、さらに互いに忙しくなった。
どちらかに連続ドラマが入ったりすれば、寝顔を見ることさえままならない日々が続いたり。
地方で撮影となれば、泊まりになってしまうことだってあって。
それでも、連絡を取り合う手段はあるわけだし、
何より離れてることで近くなるっていう心の距離ってのを感じてた。
でも、そう思ってるのは俺だけなのかもな。
愛情は大きくなると重くなる。
誰かが言ってた。
さらに深くなると同情になるそうだ。
言いたいことも言えなくて。
言わない方が楽になる。
そうやって、なんとなくやり過ごしていく。
俺たちの関係はなんなんだろう。
手を繋いで町を歩くことも出来ない。
お揃いの指輪をすることも出来ない。
同居人?
かずが入ったあとで少しぬるくなったお湯は長湯にちょうど良くて。
最近、ずっとこんなことばかり考えている。
誰かに認めてもらえなくたっていい。そんなことを言った気がした。
かずさえ、そばにいてくれれば。
今だってその気持ちに変わりはない。
だけど。
だけど。
「だけどな…」
何が気にくわないのか。
何にイライラしてるのか、自分でもハッキリわからない。
そんな自分に一番、イライラしていた。
俺たちには時間がないんだ。
やらなきゃならないことがたくさんあって。
まだまだやりたいことがたくさんあって。
俺たちのことでこんな悩んでる暇なんてないはずなのに。
「先に寝るねぇ」
「おやすみ」
「オヤスミ」
歯磨きしながら思う。
「起きて待っててよ」って。
言えば良かった。
変わらない寝顔。
隣にそっと入って薄い体を引き寄せた。
少し眉間にシワを寄せたけどいつもの犬みたいな寝顔に戻ってて。
俺も目を閉じた。
それに比例して、さらに互いに忙しくなった。
どちらかに連続ドラマが入ったりすれば、寝顔を見ることさえままならない日々が続いたり。
地方で撮影となれば、泊まりになってしまうことだってあって。
それでも、連絡を取り合う手段はあるわけだし、
何より離れてることで近くなるっていう心の距離ってのを感じてた。
でも、そう思ってるのは俺だけなのかもな。
愛情は大きくなると重くなる。
誰かが言ってた。
さらに深くなると同情になるそうだ。
言いたいことも言えなくて。
言わない方が楽になる。
そうやって、なんとなくやり過ごしていく。
俺たちの関係はなんなんだろう。
手を繋いで町を歩くことも出来ない。
お揃いの指輪をすることも出来ない。
同居人?
かずが入ったあとで少しぬるくなったお湯は長湯にちょうど良くて。
最近、ずっとこんなことばかり考えている。
誰かに認めてもらえなくたっていい。そんなことを言った気がした。
かずさえ、そばにいてくれれば。
今だってその気持ちに変わりはない。
だけど。
だけど。
「だけどな…」
何が気にくわないのか。
何にイライラしてるのか、自分でもハッキリわからない。
そんな自分に一番、イライラしていた。
俺たちには時間がないんだ。
やらなきゃならないことがたくさんあって。
まだまだやりたいことがたくさんあって。
俺たちのことでこんな悩んでる暇なんてないはずなのに。
「先に寝るねぇ」
「おやすみ」
「オヤスミ」
歯磨きしながら思う。
「起きて待っててよ」って。
言えば良かった。
変わらない寝顔。
隣にそっと入って薄い体を引き寄せた。
少し眉間にシワを寄せたけどいつもの犬みたいな寝顔に戻ってて。
俺も目を閉じた。