僕は君を連れてゆく
第62章 夢の向こう側 MN
「ニノって可愛いんだね」
「え?」
楽屋に俺と相葉くんだけなって。
台本を確認してるとばかり思ってた相葉くんが
とんでもないことを言った。
「俺の前だと?こー、何て言うの?兄貴にはむかう弟みたいな?そんな可愛さだとずっと思ってたんだけど…」
台本を確認してるというポーズで頭のなかは
かずのことでいっぱいってことか?
「なんか、抱きしめたくなるっていうの?強がる顔なんて本当に可愛いんだもん!なんか、知らない顔がまだまだたくさんあるんだなぁと思っちゃった」
それについては、俺も思ったばかりだ。
潔い、男前なかずを見れた。
真っ赤な顔してたけど。
それをなんで相葉くんまで…
「ニノならあり得るね」
「あり得る?」
「だって、恋人なのにその関係を夢みたいなんて言ってさ」
「うん…」
「ありだわ…」
「ね?それって」
「でわ、スタジオにお願いしまーす」
「行こ!」
と、手を差しのべられた。
思わず握って立ち上がった。
そのまま引き寄せられて相葉くんに抱きしめられた。
「え?」
「潤…」
「っへ!?!?」
「松潤も可愛いよ?」
抱きしめられたまま背中を優しく撫でられた。
「へっ?!?!」
俺?
かずじゃなくて?
え?
どーゆうこと?
相葉くんは何食わぬ顔で楽屋を出ていく。
「待って」
「どうしたの?」
「ううん、ね、もう相葉くんのとこには行かないで?」
「は?何言ってんの?」
「おーい!早く!」
心がざわついてる。
これは…夢?
現実?
その収録、俺が散々だったのは言うまでもない。
【おわり】