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僕は君を連れてゆく

第64章 カモン ブルー SO

教えてよって…

ヌクのを?

口頭で説明すんの、難しいんだけど…

「今日は塾ないの?」

「え?うん。テスト終わったから来週も休み」

「ふーん…じゃぁ、これから家に来る?」

「…智の家?」

それは、ものすごく興味がある。

「前に来たいって言ってたよね?」

「行きたい!智の家だけ行ったことないし!いいの?マジで?」

「うん」

電車に乗った。

智の家は俺とは反対方向で。
俺とニノ、雅紀と智で同じ方向なんだ。

「あんまり、こっち来ないから新鮮だわ!」

「相葉ちゃんってさ、ニノのこと好きだよね」

「うん…え?雅紀?ニノじゃなくて?」

「ニノ?ニノも好きだよね」

「ニノも?え?そうなの?」

「翔くんって、何もわかってないね」

カチンときた。

「わかってないってさっきから何?」

「怒んないでよ。悪い意味じゃないから」

「悪い意味に聞こえるように言ってんじゃん」

電車の中だからあまり、大きな声を出せないし。

智はいつものようふんわり、ふにゃり喋ってて。

「次で降りるから」

と、ドアの前に視線を変えた。

知らねぇとか、分かってないとか
意味がわかんねぇ。

何も知らないのは、智だろ。

教えてよって…

あぁ、そうか。

教えてあげればいいのか。

手取り、足取り、教えてやるよ。


電車を降りて改札を出て少し歩いて。

アパートだった。

手すりもない階段ものぼる。

「みんなに自慢しよ!智の部屋入ったって」

「あ~、ニノは来たことあるよ」

「え?そうなの?」

「うん。着いてきてさ~帰れって言っても帰んなくて…仕方ないからいれた」

「何それ、ニノ、すげーな」

「そーいうところはグイグイ来るのにね」

「そーいうところ?」

「うん?うん…アハハ」

ガチャと鍵を回してドアが開く。

そこにはすぐに一口コンロのキッチンと小さな折り畳みテーブルの置いてある8畳ほどの部屋。

「狭くてごめんね」

テーブルのすぐ横に布団が。

靴を脱いだ智を背中から抱きしめた。




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