
僕は君を連れてゆく
第64章 カモン ブルー SO
「翔ちゃん!」
電車でつり革につかまりながら携帯をいじってたらニノが電車に乗ってきた。
「おはよ!朝は相変わらず白い顔だな」
「うん?今さらでしょ」
まだまだ昼間は暑いけど、衣替えが終わってブレザーを着なくてはならなくなった。
汗かきな俺は電車に乗ってすぐにそれを脱いだ。
「暑くね?」
「そうでもないよ」
「昨日さ…」
昨日見たテレビの話をしようとしたら。
「相葉くんさ、彼女できたんだって」
「え?!そうなの?」
「みんなに、報告する!ってバカみたいに笑ってたよ。マネージャーの先輩、分かる?」
美人で有名な人だ。
名前だって分かる。
「告白されちゃったって自慢されたよ」
なんともないような顔で。
親友に彼女が出来て、羨ましいというような顔で。
「やんなっちゃうよ、本当」
いいの、それで?
なんて、聞けない。
だって、目に、瞳に寂しいって書いてある。
「みんなに報告ってなんだよな」
「だよね」
この間の智の話だと、雅紀はニノが好きなんじゃないのか?
「騒ぎそうだな」
「大野さんも意外とモテるんだよね」
智の名前を出されて、体が反応したのがわかった。
「…」
「え?何かあったの?」
「なんで?」
「だって!まぁ、いいや」
それ以上を突っ込まれることもなく。
あの日、
あのまま起きない智を俺の膝の上からそっとどかして帰ってきた。
夜中に寝たことを詫びるメールがきてたけど返事はしなかった。
あれから、
智のことを思い出してしまって。
携帯で無料のAVとか探してみたけど。
頭に浮かぶのは智のソレで。
汗ばむ肌と漏れる吐息で。
「ね?聞いてる?」
「あ、うん?なに?」
「なに?寝不足?」
そう。
寝不足だ。
「そんなとこ」
「なんか、やらしーなぁ」
「なんだよ。それ」
ってか、智ってモテるんだ。
