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僕は君を連れてゆく

第64章 カモン ブルー SO

ちょっと、感動した。

気持ちが高まると暴走機関車のように突っ走る奴だと思ってたのに。

まさか、こんな男前なことを言う奴だったとは。

ニノの目はハートになってて
今にもキスでもしそうだ。

「…」

智は雅紀の言葉を聞いてからずっと、黙っていた。

教室に戻りながらニノが俺の裾を引っ張った。

「ん?」

「大野さん、何考えてると思う?」

「う~ん…」

智の頭の中はよくわからない。

雅紀とニノはまだ、だと思う。

したい気持ちはあるけど、出来なかった、方かも。

「翔ちゃん…」

「ん?」

「頑張ってね!」

「え?」

ウィンクをして先を歩いて教室へ入っていた。

頑張ってね、か。

何を?

え?

そうなの?

俺も…

午後イチの授業は体育だった。

2チームに分かれてサッカーだ。

智は鮮やかにゴール決めて。

「翔くーん!見てた?」

ハイタッチを求めてきたから応じる。

弾ける笑顔。
首を伝う汗。

「エロっ」

「え?何が?」

「うわっぁ!!!なんだよ!いたのかよ」

「そんなに驚く?おおちゃんって運動神経いいよね」

確かに。
おっとり、のんびりしてるイメージだけど。
足も速くて。
運動してる話は聞いたことないけど足のふくらぎなんてめちゃくちゃ発達してる。

それに…
智を目で追っかけてる女子は結構いる。

「翔ちゃん、おおちゃんが好きなんだね」

「うん」

うん?

「え?なんて?」

「やっと、素直になった~」

雅紀にはめられるなんて…

「まぁ、分かりやすく顔に書いてあるけどね」

「好きだって伝えて、付き合って欲しいって、言ったら、うんって言ってくれて…でも、まだ、好きって言ってもらえてない…」

「なんか、意外…」

「何がだよ」

「好きって言って、キスして…ってすぐにやることやっちゃいそうなのに…」

「俺ってどんなイメージだよ」

「え?聞かない方がいいんじゃない?」

「そういうお前こそ…」

「なに?」

「いや、なんでもない…」

「お互いに初めてだからさ…翔ちゃんのこと頼りにしてるよ」

「俺だって男はハジメテだわ!」

余計なカミングアウトをしてしまった。



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