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僕は君を連れてゆく

第65章 ハートビート


友達と話してるところを見られた。

昔は…自分で言うのもあれだけど割と手のかかる子供で。

まぁ、翔さんからすれば今だって手がかかるって言われそうだけど。

昔の自分を見られてるようでなんだか、恥ずかしい。

翔さんが欲しいものを買えたみたいで、良かった。

そろそろ、移動してお昼にでもした方が待たなくてすむかも。

そう思って昨日、検索して見つけたランチのやってるお店で翔さんが好きそうなお店をすすめてみようと思った。

「俺、自信ねぇよ」

急に、トーンダウンした声。

眉を下げて俺を見る翔さんの顔は今まで見たことない顔。

何を言われてるのだろうが?

よく、分からない。

何か、怒らせるような事を言ってしまったのだろうか?

いや、悲しませるような事を言ってしまったのだろうか?

「これから、たくさんの出会いがあってさ。きっと、素敵な人とたくさん出会うのに…俺が隣にいていいの?」

素敵な人?
出会い?

「だって、潤さ気づいてないだろ?いつまでも俺のこと“さん”づけで呼んでくるし。敬語も抜けないしさ。あんな風に笑ってくれない」

気づかなかったよ。
こんなに、可愛い顔する人だったの?

知らなかったよ。
拗ねた顔も。
尖らす唇も。

気まづそうに俺に背を向けた。

翔さんって撫で肩なんだ…

後ろ姿なんてほとんど見たことがなかったから。

俺の後ろからそっと手を差し伸べてくれる人。

だから、いつも俺が翔さんの前を歩いてて。

気がつかなかった。

翔さんって俺のこと、すげぇ好きじゃん。

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