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僕は君を連れてゆく

第65章 ハートビート


「どう?美味しい?」

俺は頷いた。

「俺にも頂戴?」

と、口を開いた潤。

「おぉ…待って、よし!ほら!あ~ん」

モグモグ…
モグ潤…可愛い…

「美味しいぃ~」

唇の端っこにソースをつけて。
キラキラと音楽でもなりそうな笑顔で言った。


「さっき…二階に行ったんだ…そうしたら…女の人と話してるの見ちゃって…」

静かに音楽が流れる店内は俺たち以外にも何組かお客さんがいて。

「見なければよかったなぁって思って。あぁ、翔さんの隣には俺じゃなくてもっとお似合いの人がいるのかもしれないって思っちゃって…」

隣のテーブルには本を読みながらコーヒーを飲んでるおじさんがいる。

「そうしたら、旬たち、旬ってのは学生時代の友達でさ。かなり仲良かったから…そいつは当時から付き合ってる彼女といて…」

カウンターにも数人、お客さんがいる。

「旬はさ、昔から親父さんの店継ぐって話してて…俺はまだ何も決まってなくて。旬の彼女も昔から夢があってさ…」

潤は2社面接に行ったがまだ内定をもらえていない。

でも、第一志望は来週だ。

「夢は夢なんだ。なんだっていいんだ。非現実的だって」

「なんだって?」

「そう。また美味しいランチ食べれるように頑張る!それも夢だ」

「うん」

「食べよっか?」

「はい」

少し冷めちゃったけどナポリタンとオムライスは全部、食べた。

「出るか…」

お会計をして店を出た。

まだお日様が高い時間。

このあとは映画でも見ようかと考えていた。

でも。

「潤…潤の夢はなに?」

「俺の夢は…俺の夢は…」

「俺の夢、言ってもいい?」

「え?」

「今日はずっと潤と一緒にいたい」

「ずっと?」

「ずっと」

潤はふわりと綺麗に笑った。

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