テキストサイズ

僕は君を連れてゆく

第70章 向日葵のやくそく /MS

jun



「オペ室に行こう」

ナース「先生、CT室すぐ行けます」

「よし!」

交通外傷の患者さんが運ばれてきた。
下肢の開放骨折があって腫れが時間とともに大きくなってきている。
もしかしたら、血管を傷つけているのかも。

「血圧どうだ?」

ナース「70の42です」

「低いな…輸血用意して」

ナース「先生、整形の池田先生呼びますか?」

「そうだな、そうしよう。」

ナース「運びます」

オペ室に運んですぐに整形の池田先生が駆け付けてくれてオペはスムーズに終わった。

一息ついてペットボトルの水を飲み干す。

「足りないな」

たださえ、処置やオペ後はアドレナリンが出すぎるくらいで。
まだ、頬が火照って冷める気配すらない。

小銭をポッケにいれて外にある自動販売機まで歩く。

救急室から外来前を通ればこの格好のせいだろう。

診察を待つ患者さんたちが俺に次々と頭を下げて挨拶をしてくれる。

それに答えながら小児科外来の前を通る。

「だいちゃん?だいちゃん?」

椅子に座る女性が大きな声で名前を呼んでいる。

「すいません!誰か!」

「どうしました?」

「お腹が痛いって昨日から言ってたんですけど…」

顔面蒼白で額には汗が滲んでいる。
歯を食い縛っていて拳は強く握られている。

「右?左?」

「ママ…」

そう呟いたら意識を飛ばした。
すぐにPHSで全館コールをかけ応援を要請する。
目の前は小児科外来だからそこからスタッフが大勢出てきた。

ナース「松本先生!」

「意識レベル三桁、右下腹部に強い痛みあり」

ナース「ストレッチャー持ってきました」

「救外へ運んで」

「小児科の先生も誰かつかまえて」

ナース「はい」

「お母さんからくわしく話聞いてくれ」

ナース「はい!」

指示を出しながらストレッチャーをおす。
救外にはすでにスタッフが揃って準備していた。

「松本先生!」

櫻井先生が救急室に入ってきた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ