僕は君を連れてゆく
第70章 向日葵のやくそく /MS
sho
「大介くんのお母さん」
「はい…」
救急室前の長椅子にハンカチを握り締めて小さくなってる母親がいた。
「あの、どうなりますか?手術とかになりますか?」
「微妙なところです。炎症反応がかなり高いです」
「あの…、手術はできればやめてほしいっていうか…うちちょっとお金がなくて…」
「なるほど…点滴もそれなりにお金はかかりますけど…」
「家賃も2ヶ月払えてなくて…ギリギリなんです…仕事も休むと給料削られちゃうし…」
「二日、様子を見ます。二日で改善しなければ手術になります。そうしないと命に関わりますから」
「わかりました…お願いします」
膝に頭がつきそうなほど頭を下げた。
救急室に戻りオペはしないことを告げる。
潤の顔が強ばった。
母親の許可がなければ手術は出来ない。
病室へ移った男の子は点滴のおかげかスヤスヤと眠っている。母親も小さな手を握りベットに頭を預けていた。
「お母さんの様子どう?」
ナース「少し落ち着きました。さっきまで寝顔見ながら泣いていたんですが」
「そっか。お母さんの方も見ててあげてね」
ナース「もちろんです」
この子は薬で今は落ち着いているが起きればまた痛みを訴えるかもしれない。
そうなると手術は避けられない。
腕時計に目をやると15時になろうとしていた。
午後の外来が始まるまであと30分。
軽く何か食べなきゃ、と思い食堂に向かう。
ちょうど潤が出てきた。
俺を見て少しだけ目を見開いたがそのまま下を向いて歩いてくる。
「松本先生」
「…」
「あの子、きっとオペになると思います」
「…」
「振り回して申し訳なかったです」
互いに視線合わせずに会話をするなんて始めてで。
「今日は帰れないかもしれない」
それだけ言うと潤は俺から遠ざかっていった。
「大介くんのお母さん」
「はい…」
救急室前の長椅子にハンカチを握り締めて小さくなってる母親がいた。
「あの、どうなりますか?手術とかになりますか?」
「微妙なところです。炎症反応がかなり高いです」
「あの…、手術はできればやめてほしいっていうか…うちちょっとお金がなくて…」
「なるほど…点滴もそれなりにお金はかかりますけど…」
「家賃も2ヶ月払えてなくて…ギリギリなんです…仕事も休むと給料削られちゃうし…」
「二日、様子を見ます。二日で改善しなければ手術になります。そうしないと命に関わりますから」
「わかりました…お願いします」
膝に頭がつきそうなほど頭を下げた。
救急室に戻りオペはしないことを告げる。
潤の顔が強ばった。
母親の許可がなければ手術は出来ない。
病室へ移った男の子は点滴のおかげかスヤスヤと眠っている。母親も小さな手を握りベットに頭を預けていた。
「お母さんの様子どう?」
ナース「少し落ち着きました。さっきまで寝顔見ながら泣いていたんですが」
「そっか。お母さんの方も見ててあげてね」
ナース「もちろんです」
この子は薬で今は落ち着いているが起きればまた痛みを訴えるかもしれない。
そうなると手術は避けられない。
腕時計に目をやると15時になろうとしていた。
午後の外来が始まるまであと30分。
軽く何か食べなきゃ、と思い食堂に向かう。
ちょうど潤が出てきた。
俺を見て少しだけ目を見開いたがそのまま下を向いて歩いてくる。
「松本先生」
「…」
「あの子、きっとオペになると思います」
「…」
「振り回して申し訳なかったです」
互いに視線合わせずに会話をするなんて始めてで。
「今日は帰れないかもしれない」
それだけ言うと潤は俺から遠ざかっていった。