テキストサイズ

僕は君を連れてゆく

第70章 向日葵のやくそく /MS

jun



売店でパンを三つ買って宿直室にはいる。
ベットしかないその部屋に入るのは久しぶりだ。
封をきってパンを頬張る。

翔とは一年前から一緒に住み始めた。

なんで、住み始めたんだっけ?
一緒に住み始めたものの互いに仕事に追われ数日、寝顔さえ見れない日もあったりして。

こんなで一緒に住む意味はあるのかな?なんて考えた日もあったけど。

ペットボトルの水で喉を潤す。
やっぱり、パンは喉が乾く。

三つ目のメロンパンの封を切ったらPHSが鳴った。

「はい。すぐに戻ります」

これからのことも考えなきゃならないのに。
忙しくてそれどころじゃない。

目の前に助けて、と訴える人たちがいるんだ。

日勤帯の最後の患者は熱中症だった。
脱水もそこまでひどくないため点滴をして帰るように伝えた。

救急室を出たら翔がいた。

「今日、待ってる」

真っ直ぐと俺を見てる。

「何時になるかわからないから」

「うん。それでも待ってる」

それだけ言うと小走りに出ていった。

時計を見ると午後の外来が終わる時間。
でも、いつもなら受付を終えた患者はまだ多く残っているはずなのに。

わざわざ、それを言うために抜けてきたってことか?

藍沢「松本先生!ちょっと、いいですか?」

「もちろん、どうした?」

脳外科の藍沢先生が走ってきた。

藍沢「ちょっと、相談が…この間の脳挫傷の◯◯さん、覚えてますか?」

「あー、うん」

藍沢先生の患者の話をしながら脳外科病棟に行って。
画像を見ながら今後の治療方針について少し話をした。

藍沢「そっか、そうだよな。オペだけじゃないよな」

「血圧コントロールがまだ十分じゃないからな。ここでオペの話をするのは家族も不安になる」

白石「だから、言ったじゃない」

藍沢「…」

白石「家族の同意を得るためにはこの状態じゃダメだって!ね?松本先生」

藍沢「はい、はい」

「仲良いのな」

白石「治療方針ではぶつかってばっかりですけどね」

「そうなの?」






ストーリーメニュー

TOPTOPへ