僕は君を連れてゆく
第9章 怪盗♡サトコ
なんだ、これは…
「翔ちゃん…」
あのあと、手を繋いだまま車内は無言だった。
1時間ほどして
「ここでいいです。」
智くんはタクシーをとめて、お金を払って降りた。
「行こう。」
降りる時に離された手は再び、繋がった。
「ね?お金、あとで半分払うよ。」
沈黙が怖くて声をかけるけど智くんは何も
言ってくれない。
「智くんの家で飲むの?松潤たちに怒られちゃうな~!一人で行ったなんて言ったら…」
メンバーの名前を出したら、握っていた手にギュッ
と力が入った。
「だって、メンバーは入ったことないんでしょ?」
やはり、何も言ってくれない。
「緊張しちゃうな~」
空回りでもなんでも、何かしゃべってないと
怖かった。
「ここ。」
マンションに連れてこられた。
エレベーターに乗って。
「怖い?」
「俺が怖い?」
怖いよ。
「なんで?なんかされんの?俺…」
「降りて。」
真っ直ぐ、手を引かれて部屋の前までついた。
鍵を差し込み回してドアを開けた。
「入って。そこのドア開けたらリビングだから。
適当に座ってて。」
玄関には何も置いていなかった。
リビングに入った途端、智くんの部屋だった。
匂いがそうなんだ。
落ち着く。
でかすぎるテレビ。
ベット変わりのソファ。
俺が把握してる智くんの部屋だった。
落ち着くよ。