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僕は君を連れてゆく

第72章 可愛いの秘密


「うん、上出来っ!」


と、また俺を見た。

今の時代、あざとい、は正義で、
可愛い、は最強なんだ。

つまり、つまり、潤は最高で最強なんだ。


「今日も可愛い」


「また、それ言う!和くんだって可愛いよ」


「俺は自覚してるから!」


なにそれーって笑う。
俺のカレーの器に福神漬けを盛る。

「そんなにいいよ」


「好きでしょ?」


くふふ、と笑う。

俺たちは幼なじみで、保育園のときから一緒だった。
小学校にあがってから潤の家の両親は喧嘩が多くなっていき四年生にあがる時、離婚した。
家族同士の付き合いもあったから俺の母さんたちは話を聞いていたみたいだ。

うちも別に特別に仲がいいわけでもないが離婚するほどでもなくて。
俺の行事よりも仕事を優先する両親だった。

だから、俺たちは二人で多くの時間を過ごしてた。

朝も潤が迎えに来てくれた。

帰りは一緒に帰って奇数日はうち、偶数日は潤の家。
宿題をして準備されてたおやつを食べて。
自転車に乗ったり、公園に行ったり。
ゲームをしたり。

中学生にあがると二人で野球部に入った。

「和くん、明日もバイトでしょ?」


「ううん。休み。シフト変わったんだ」


「そっか、じゃぁ明日はどうする?」


「たまには食べに行くか?」


「え?!」


俺は給料明細を見せた。


「初給料でたんだ。なんでも好きなもの食わしてやる」

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