
僕は君を連れてゆく
第72章 可愛いの秘密
幼なじみを可愛い、なんて思うのはおかしいのか。
潤を甘やかしてるなぁ、という自覚はある。
だって、可愛いんだ。同い年だけど弟みたいなんだ。
「ね、聞いてる?」
「え?なに?」
いつものように、可愛い、可愛いと思っていたら
潤が唇を尖らせていた。
「二組の翔くん、恋人出来たって」
「あー、言ってたね。K高の子なんでしょ?」
「翔くんじゃなくて相葉ちゃんがその人のこと喋ってたよ」
「へぇー」
そういえば。
「潤って彼女いないの?」
「へ?」
すっとぼけた顔をするからつい笑ってしまう。
なんで笑うのー、なんて言いながら麦茶を飲み干した。
「いや、俺たちそういう話全然しないじゃん」
「分かんないの?」
「何が?」
「分かんないならいいや」
それからそのことについて何度問いただしても
答えてくれなかった。
夕食が終わったら、一緒に宿題をやる。
こんな生活のおかげか俺たちは割りと成績もよかった。
21時になろうとして風呂に入るようにすすめた。
いつも互いの家でお風呂もすまして帰るのが恒例だからだ。
「じゃぁ、お先に」
とお風呂へ潤がきえた。
潤って彼女いたことあるのかな?
俺はないけど。
好きな子も…しばらくいない。
可愛いな、って思う子もいたけど。
潤のが可愛かったし。
テレビドラマが始まって主人公の俳優とヒロインのキスシーンが流れてる。
潤って、キスしたことあるのかな?
潤の唇を思い出そうしたら携帯が鳴った。
相葉ちゃんからでバイトがなければご飯食べよう、と誘いのメールだった。
潤も一緒なら、と返事をしたらすぐに既読になって。
もちろん、ときた。
潤に伝えようと風呂に向かったら、お風呂のドアがあいた。
下着にスウェットをはいて、裸の上半身に首にタオルを下げて潤がでてきた。
まだ髪が濡れてて。
髪をかきあげた。
そして、俺を見た。
