僕は君を連れてゆく
第72章 可愛いの秘密
「どこ行く?まだ時間あるし」
「カラオケは?」
放課後、潤と相葉ちゃん、翔くんの四人でブラブラ
歩いていた。
夕飯までは時間もあるし、翔くんの提案でカラオケに行くことになった。
部屋に案内してもらって相葉ちゃんが歌う。
ドリンクを注文して、それが届いた。
「あれ?翔くん」
「バイトしてるって聞いたから来た」
「そうなんだ…ありがとう」
「ねぇ、あの人かな?翔くんの恋人って」
俺にくっついて小さい声で話しかけてくる。
「ないだろ、男じゃん」
「だって、見てよ」
と、俺の腕に自分の腕を絡ませてくる。
店員のズボンのポッケから覗くのはキーホルダーのようなもので。
翔くんの鞄についてるものと同じだ、潤が言う。
「たまたまだろ」
聞いてみよう?なんて上目使いしてくるし。
男と付き合うなんて、まさか、あの翔くんが。
ない!ない!
「智もバイトあがるから一緒にいい?」
「もちろん!もちろん!早く来なよー」
相葉ちゃんがマイクを使って返事をする。
「あと一時間だから、また来るね」
手を振って出ていった。
「ねぇ、翔くんの恋人って、もしかして…」
ドアがしまるより早く潤が翔くんに問う。
「あれ?そんなわかりやすい?」
「やっぱり!!!」
ほら!和くん!、なんて肩を組まれた。
「可愛いんだよ、すげぇ」
「男だよ?」
「男とか女とか、そこじゃないんだよね。智に惹かれたんだ」
俺は言葉がでなかった。
あのあと翔くんは恋人の大野智のどこが可愛くて、
どこが好きなのかをずっと語っていた。
告白したときの話。
初めてキスしたときの話。
パニック、パニック!!!!!