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僕は君を連れてゆく

第72章 可愛いの秘密

それから、俺は、なんかおかしいんだ。

男とか女とかそんなものが恋愛において二の次で
あることをすんなり、受け入れられてる自分にも
驚きだが。

「和くん?寝れなかった?」


毎朝、電車に揺られ学校に向かう途中。
俺の顔色が良くないと心配そうに覗きこむ潤。
眉毛がさがり、とても可愛い顔。

「大丈夫」

そう?と潤が顔をあげたら電車が揺れた。
体を持ってかれそうになって手すりを掴もうとしたら
潤が俺の腕を握り胸のなかへ引っ張った。

腰に腕を回し直され電車のすみに移動した。

「和くん、細いね」


「デブよりいいだろ」

気がつくと見上げるようになった潤。
左腕は腰に回されたまま、右手は壁に手をついてて。

「壁ドンされてるみたいになってじゃん」

面白くなって自虐的にそう言ったら顔を近づけてきて
「このまま、サボろっか」
と、低い声で耳元で囁いた。

俺は耳に手をやりふさぐ。
くすぐったくて、恥ずかしい。

聞いたことない潤の声色。

ズーンと響く。

「さぼんねーよ」

後ろを向いた。
窓にうつる自分の顔は真っ赤で。

潤は何事もなかったかのように携帯をいじってた。

ドキドキする。
早く、駅についてほしい。

楽しかった電車のなかも、
今では毎日、ドキドキしてしまう。

潤相手に。

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