僕は君を連れてゆく
第72章 可愛いの秘密
別の日
眠たくて必死にあくびをこらえる。
ふと、外に目をやると潤のクラスは体育だった。
サッカーをやってて潤にパスが回ってきた。
ドリブルしながら潤がゴールにむかっていく。
シュートを決めてチームメイトとハイタッチしてる。
女子がキャーキャーと騒いでる。
なんだよ。
「二宮!聞いてるか?」
潤のせいで怒られたじゃん。
答えられなかった数学の問題を解き直す。
外から聞こえてくる女子の歓声が耳障りだ。
なんだよ、もう。
「ただいまー」
「おかえり」
潤がバイトが終わり帰ってきた。
「ねぇ、ケーキもらった!」
ビニール袋に箱が入っててケーキだそうだ。
「ご飯終わったら食べよう?」
「そうだな」
夕飯を食べて、お互いにお風呂に入り明日は土曜日だからって少しのんびりできる。
テレビを見ながら潤がもらってきたケーキを食べていた。
「そっちも頂戴?」
フォークを持って俺のチーズタルトをツンツンする。
「いいよ、そっちも食わして」
俺は皿を潤の方へ寄せたら、潤はフォークでチョコレートケーキをすくってた。
「あーん」
「え?!」
「早く、落ちちゃうっ」
口を開けた。
ゆっくりフォークとケーキが口に入ってきて。
口を閉じた。
ゆっくりとフォークを抜いていく。
恥ずかしい。
それに、ドキドキする。
「どう?」
「うまいよ」
潤の顔を見れない。
「俺にも」
と言って口を開けて待っている。
え?え?
「ねぇーまだぁ?」
と、首をかしげる。
あぁ、可愛いんだよ。
チーズタルトをフォークですくい潤の口に運ぶ。
すると、潤は俺の目を見ながら、ゆっくりと
口をとじて顎をひいていく。
なんで…
そんな…
「美味しい…」
口の端にチーズタルトがついてる。
甘すぎなくていいよね、なんて言ってるけど。
「ん?なに?」
「ついてる」
「どこ?」